概要[編集]

熟れコミ(うれコミ)とは、アダルトビデオメーカーのマドンナが2012年から展開しているアダルトビデオのシリーズである。成年向け漫画を原作とし、登場人物の名前・設定・服装・髪型まで原作に合わせて実写で再現することを主眼とする。第1作は2012年12月25日に発売され、翌2013年12月には「創設1周年」をうたう作品も出た。原作は商業単行本が中心で、同人作品が原作になることもある。

詳細[編集]

シリーズの方針[編集]

シリーズの基本方針は、オリジナルの企画を立てるのではなく、既に刊行されている成年向け漫画を1冊単位で映像化することである。登場人物の名前や設定、服装や髪型も可能な範囲で原作に合わせ、作中には原作漫画のカットが挿入される演出がとられる。長編の原作では、収録される巻数に応じて作品が複数に分かれる。

原作は商業単行本が中心だが、同人作品を原作とする作品も含まれる。また「人妻熟女」を主題に掲げつつ、実際には若手の出演者による作品も存在し、主題の枠は厳密には運用されていない。

始まりと初期の展開[編集]

シリーズは2012年12月25日発売の作品から始まった。2013年から2014年にかけて毎月のように新作が出ており、2015年1月発売予定分までで20作を超える作品が確認できる。2013年12月の作品には「創設1周年」の文言が添えられ、シリーズ名そのものが販売上の看板として扱われていたことがうかがえる。

主な原作[編集]

映像化された原作には、次のような作品・作家がある。

  • 艶々『たとえば母が』 - 原作1〜2巻、3〜4巻、5〜6巻をそれぞれ1作にまとめた3作構成。
  • 中華なると『隷従契約』『人妻雪絵』『義父』『女捜査官 調教連鎖』 - シリーズ内で最も多く原作に採られた作家の一人。『隷従契約』は登場人物別に2作に分かれる。
  • 華フック『母親失格』 - 2013年11月の第1作から続編が作られ、計3作になった。
  • タカスギコウ『淫戯の果て』 - 原作で描かれなかった結末を含めた2作構成。
  • 御手洗佑樹『人妻落とし』ほか - 『人妻落とし』は6人が出演する群像的な作品。
  • 唄飛鳥、鬼窪浩久、彩画堂、宇野みづき、風船クラブ、ポン貴花田などの作品。
  • 四畳半書房の同人作品 - 原作の販売数が1万本と紹介された作品で、同人原作の代表例になっている。

原作者の顔ぶれを見ると、成年向け漫画誌で長く活動してきた作家が多い。すでに単行本が売れている作家を選ぶという点で、企画の段階から「読者がいる原作」を前提にしていることが分かる。

作品の例[編集]

原作 原作者 主な出演者 備考
『たとえば母が』 艶々 風間ゆみ、松下美雪 原作の巻数に合わせて3作
『隷従契約』 中華なると 羽月希、川上ゆう 登場人物別に2作
『母親失格』 華フック 翔田千里 2013年11月の第1作から計3作
『淫戯の果て』 タカスギコウ 織田真子、音無かおり、風間ゆみ 2作目で原作にない結末を描く
『人妻落とし』 御手洗佑樹 翔田千里ほか 6人が出演
『人妻オードリーさんの秘密』 彩画堂 波多野結衣、西條るり
『侵蝕の刻 〜兄嫁の咽び〜』 唄飛鳥 白木優子
『つぼみな奥さん』 ポン貴花田 上原亜衣 若手出演者による例外的な作品
『母娘の檻』 四畳半書房 白木優子、上原亜衣 同人作品が原作・2014年8月1日発売

上記は2012年から2015年初めにかけての作品の一部である。

主な出演者[編集]

風間ゆみ、川上ゆう、翔田千里、羽月希、白木優子、織田真子、北条麻妃、波多野結衣、上原亜衣、本田岬、浜崎真緒、かすみ果穂らが出演している。『たとえば母が』は3作とも同じ主要キャストで通され、『母親失格』も同じ主演で続編が作られた。原作のある登場人物を演じるため、続き物では配役を固定することが重視されている。

原作ものという構造[編集]

このシリーズが示しているのは、アダルトビデオの企画が「何を撮るか」ではなく「誰に届くか」で立てられているという点である。

新規の企画は、作ってみるまで需要が読めない。これに対し既刊の漫画を原作にすると、すでにその内容を求めて単行本を買った読者が存在することが確認済みの状態で制作に入れる。つまり原作ものは、作品の質を借りているというより、需要の確認を先に済ませる手段である。同じ構造は一般の映像作品にもあり、漫画アプリで読まれた作品がテレビドラマやアニメになる流れと発想は変わらない。

作品タイトルが極端に長いのも同じ理由による。原作の題名、原作者名、内容を説明するキャッチコピーまで題名に含めるのは、販売サイトの一覧や検索結果で、原作を知っている人に見つけてもらうためである。FANZAのような配信の場では、棚に並ぶ現物ではなく文字列が商品の顔になるため、題名が説明文を兼ねる。

原作側から見ても、映像化は単行本の宣伝になる。作品タイトルに原作名と作者名が入るため、映像から原作へ、原作から映像へと客が行き来する。出版社・作家・メーカーの三者にとって損の少ない組み合わせであることが、シリーズが続いた理由の一つと考えられる。

成年向け漫画と映像化[編集]

成年向け漫画は、商業誌で連載されたのち単行本にまとめられ、書店や電子書籍で売られる。単行本の売れ行きは作家や出版社にとって明確な数字として残るため、「どの作品に読者がついているか」は外からもある程度見える。熟れコミが原作を選ぶ際に既刊の単行本を基準にしているのは、この見えやすさを利用したものと言える。

同人作品が原作に入っている点も同じ発想の延長にある。即売会や同人ショップ、ダウンロード販売で一定の数が売れた作品は、商業単行本と同じく「読者がいる」ことが確認された作品である。『母娘の檻』の原作が販売数1万本と紹介されたのは、その数字自体が企画の根拠として扱われていることを示している。

一方で、漫画の表現をそのまま実写にすることはできない。漫画の登場人物は年齢や体型、髪型を自由に描けるが、実写では演じる人がいる。服装や髪型、名前を原作に寄せるという熟れコミの方針は、変えられない部分がある中で「寄せられる部分は全部寄せる」という割り切りでもある。原作カットの挿入は、その差を埋める手段として機能している。

位置づけ[編集]

制作元のマドンナは熟女作品を専門とするメーカーで、北都グループ系列に属する。MOODYZやエスワンのように専属の出演者を看板にするメーカーとは異なり、題材のジャンルで棲み分ける形をとっている。

ジャンル特化型のメーカーにとって、原作ものは看板となる出演者を持たなくても作品を識別させられる仕組みとして機能する。出演者の知名度で売る方式と、題材で売る方式のどちらを選ぶかは、レーベルが抱える人数の設計とも結び付いている。

漫画原作の実写化そのものは他社にも例があるが、「1冊=1作」「原作カットを挿入」「シリーズ名で統一」という型を決めてしまった点が熟れコミの特徴である。型が決まっていると、次にどの原作を選ぶかだけで企画が立つため、継続的な制作に向いている。

余談[編集]

  • 「熟れコミ」という名称は「熟女」と「コミック」を縮めたもので、シリーズの内容をそのまま説明している。長大なタイトルを付けるシリーズの総称が4文字という対比になっている。
  • 原作の場面を忠実に再現するという方針は、映像化の際に脚色の余地を狭める。自由度を下げることが、原作の読者にとっては選ぶ理由になるという逆転がここにある。
  • シリーズには川上ゆうや風間ゆみなど、長く活動する出演者が繰り返し起用されている。原作の登場人物像に合わせる必要があるため、配役の条件が通常の企画とは異なる。
  • 『淫戯の果て』のように、原作で描かれなかった結末を映像側で付け足した作品もある。「忠実な再現」を掲げるシリーズでありながら、続きを作るときには映像側が原作を越えるという、方針の内側にある例外である。
  • 制作元のマドンナは熟女作品専門のメーカーで、シリーズ名の「熟れ」はメーカーの専門分野、「コミ」は原作の出どころをそれぞれ指している。名前だけで「誰が・何を原作に」作っているかが分かる命名である。
  • 1冊を1作にする方式のため、原作の巻数が多いほど作品数が増える。シリーズ全体の本数は、制作側の企画力よりも原作の巻数に引っ張られて決まる面がある。

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