平口広美
Hiromi Hirakuchi
誕生日 1950年3月11日
年齢 76歳
出身地 北海道伊達市
国籍 日本
血液型 O型
職業 漫画家、AV男優、AV監督
活動期間 1978年 -
代表的な実績 『ガロ』での漫画/「フーゾク魂」シリーズ


概要[編集]

平口広美(ひらくち ひろみ、1950年3月11日 - )とは、北海道伊達市出身の漫画家・AV男優・AV監督である。前衛芸術家の赤瀬川原平に美学校で学び、1978年に漫画雑誌『ガロ』で漫画家デビューした。場末のエロチシズムをはらんだ独特の画風の劇画と、全国・世界の風俗店を実際に訪ね歩いた実録ルポ「フーゾク魂」シリーズで知られる。映画『爆裂都市 BURST CITY』などへの出演、AV男優・監督としての活動もあり、漫画・サブカルチャーとアダルトの世界を横断してきた異色の作家である。

詳細[編集]

上京と美学校[編集]

北海道伊達市に生まれ、高校卒業後に上京した。1968年に東京デザインカレッジに入学したが、翌年に学校が廃校となったため卒業していない。その後、1975年から1976年ごろにかけて、東京・神田の美学校「絵・文字工房」に通い、赤瀬川原平に学んだ。美学校は美術家や漫画家が講師を務める私塾的な学校で、赤瀬川の教室からは、のちにイラストレーター・エッセイストとして知られる南伸坊や渡辺和博など、漫画や美術、出版の分野で活動する人材が多く出ている。赤瀬川自身も『ガロ』に作品を発表していたことから、平口が同誌でデビューする下地はこの時期に作られたといえる。

『ガロ』でデビュー[編集]

1978年、『ガロ』6月号に掲載された「電車を待っていた」で漫画家としてデビューした。同年は8月号に「愛のタバコ屋」、11月号に「ギョーザ定食の昼」を続けて発表し、1980年1月には最初の作品集『マッスル 平口広美第一作品集』(ブロンズ社)を刊行している。

『ガロ』は青林堂が発行していた漫画誌で、商業性よりも作家性を重んじる誌面で多くの個性派作家を世に出した。平口は蛭子能収・根本敬・山野一らと並んで、1980年代以降の『ガロ』を支えた作家の一人とされる。歪みながらも輝きを増しては沈んでいく生命を、冷静な視点で見つめる作風で知られた。

1980年代の単行本と社会派の仕事[編集]

1980年代前半は単行本の刊行が続き、1982年5月に『お礼の先生』(青林堂)、同年11月に『奇妙な朝』(けいせい出版)、1983年2月に『コスモスの丘』(青林堂)を出した。1984年には『社会的責任』『ひとみちゃん』(けいせい出版)に加え、部落解放運動の歴史を描いた『劇画はためく荊冠旗―水平社運動史』(解放出版社)を刊行。同年には狭山事件を扱った『冤罪・狭山事件』(現代書館)に挿絵で参加している。

部落問題への関心は深く、部落解放同盟中央本部が発行する月刊誌『狭山差別裁判』の表紙も手がけた。エロチシズムを扱う劇画と並行して、社会問題を正面から描く仕事を続けてきた点も、平口の作家像の一面である。

1985年に『白熱』、1986年に『美しい壁』(けいせい出版)と『蜘蛛の糸』(大洋図書)、1987年3月に『熱風ひばりヶ丘』(河出書房新社)を刊行した。官能劇画誌『漫画大快楽』『漫画カルメン』などにも寄稿している。

「アスベスト」シリーズ[編集]

1986年7月号から1988年5月号まで、『ガロ』で不条理バイオレンス劇画「アスベスト」シリーズを連載した。このシリーズは単行本にまとめられることはなかったが、当時の一部の読者から熱狂的な支持を受けた作品として語られている。『ガロ』にはその後も、1988年の「北海の激情」、1994年の「最近の仕事」、1995年の「唇と激情」「星降る欲情」、1996年の「日本の土『東京欲情』」「青空筋肉」などを発表した。

映画・テレビへの出演[編集]

漫画家として活動する一方、映画にも出演している。1982年3月公開の石井聰亙(現・石井岳龍)監督の映画『爆裂都市 BURST CITY』ではロリコン政治家の役を演じ、同年9月公開の西村昭五郎監督の日活作品『連続暴行 白昼の淫夢』にも出演した。2005年には『情無用の刑事まつり「顔刑事」』、2007年には『やる気まんまん』に出演。2013年2月公開の『セックスの向こう側〜AV男優という生き方』(えのき雄次郎・高原秀和監督)では、AV男優の一人として登場している。

テレビ・ラジオでは、1990年7月9日にフジテレビの深夜番組『冗談画報』、2008年2月9日にMBSラジオ「ゴー傑P」にゲスト出演した。

「フーゾク魂」シリーズ[編集]

1990年代後半からのライフワークとなったのが、風俗店を実際に訪ねて描く実録ルポ「フーゾク魂」シリーズである。1998年4月に『フーゾク魂1』を出したのを皮切りに、『新・フーゾク魂』『最新・フーゾク魂』と題を変えながら2000年代半ばまで刊行を重ね、2007年4月には『元祖フーゾク魂―平口広美のアポナシ潜入日記』をまとめた。日本各地にとどまらず、海外の風俗も取材の対象としている。

1999年11月には自選作品集『けだもの―平口広美自選作品集』(イースト・プレス)、2000年11月には『走る!』(ソフトマジック)、2002年3月には『愛のゆくえ』を刊行した。

AV男優・監督として[編集]

平口はAV男優・AV監督としての顔も持つ。監督作には『よこしま旅情日記』『北海道の甘い汁』などがある。AV監督の伊勢鱗太朗がプロデュースした「裸の王様」レーベルにも関わったとされる。漫画・出版とAVを横断した表現者としては、高杉弾と通じるところがある。

1980年代から1990年代にかけては、村西とおる、カンパニー松尾、平野勝之といった作家性の強い監督が登場し、V&Rプランニングやソフト・オン・デマンドなどのメーカーが個性的な作品を送り出した時代でもあった。平口の活動もそうした流れの中に位置づけられる。

主な作品[編集]

漫画・単行本[編集]

  • 『マッスル 平口広美第一作品集』(1980年、ブロンズ社)
  • 『お礼の先生』(1982年、青林堂)
  • 『奇妙な朝』(1982年、けいせい出版)
  • 『コスモスの丘』(1983年、青林堂)
  • 『社会的責任』(1984年、けいせい出版)
  • 『劇画はためく荊冠旗―水平社運動史』(1984年、解放出版社)
  • 『ひとみちゃん』(1984年、けいせい出版)
  • 『白熱』(1985年、けいせい出版)
  • 『美しい壁』(1986年、けいせい出版)
  • 『蜘蛛の糸』(1986年、大洋図書)
  • 『熱風ひばりヶ丘』(1987年、河出書房新社)
  • 『けだもの―平口広美自選作品集』(1999年、イースト・プレス)
  • 『走る!』(2000年、ソフトマジック)
  • 『愛のゆくえ』(2002年)

「フーゾク魂」シリーズ[編集]

  • 『フーゾク魂1』『フーゾク魂2』(1998年)
  • 『フーゾク魂3』(2000年)
  • 『平口広美の新・フーゾク魂1』(2001年)、『新・フーゾク魂2』(2002年)、『新・フーゾク魂3』(2003年)
  • 『最新・フーゾク魂1』『最新・フーゾク魂2』(2004年)、『最新・フーゾク魂3』(2005年)
  • 『元祖フーゾク魂―平口広美のアポナシ潜入日記』(2007年)

映画出演[編集]

  • 『爆裂都市 BURST CITY』(1982年、石井聰亙監督)- ロリコン政治家役
  • 『連続暴行 白昼の淫夢』(1982年、西村昭五郎監督)
  • 『情無用の刑事まつり「顔刑事」』(2005年、デモ田中監督)
  • 『やる気まんまん』(2007年)- キトウサトル役
  • 『セックスの向こう側〜AV男優という生き方』(2013年、えのき雄次郎・高原秀和監督)

余談[編集]

  • 部落問題への関心が深く、部落解放同盟中央本部発行の月刊誌『狭山差別裁判』の表紙を描いている。
  • 「アスベスト」シリーズは約2年にわたって『ガロ』に連載されたが、単行本にはなっていない。読むには当時の『ガロ』のバックナンバーをあたる必要がある。
  • 入学した東京デザインカレッジは、入学の翌年に廃校になっている。
  • デビュー作「電車を待っていた」(1978年6月号)から最初の作品集『マッスル』(1980年1月)の刊行までは約1年半で、デビューした年のうちに『ガロ』へ3作品を発表している。
  • 「フーゾク魂」シリーズは、無印・「新」・「最新」・「元祖」と題を変えながら約10年にわたって刊行された。
  • 1990年にはフジテレビの深夜番組『冗談画報』にゲスト出演した。同番組はサブカルチャー色の強い出演者を多く迎えたことで知られる。
  • 『ガロ』の同時代の作家である蛭子能収は、のちにタレントとして全国的な知名度を得た。平口も漫画家の枠にとどまらず、映画やAVなど複数の分野で活動している点で共通する。

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