概要[編集]

マキシング(MAXING)とは、2006年に設立された日本のアダルトビデオメーカーである。大手グループの子会社や派生レーベルではない独立系として出発し、第1弾では吉沢明歩のセルビデオデビュー作と小沢菜穂の復帰作を同時に発売して話題を集めた。2019年7月に最後の専属女優の最終作が発売されたのちは専属女優を置かない企画専門のメーカーへ移行し、2021年5月末にはFANZAでの動画配信の委託を終了した。本社は東京都渋谷区にあるとされる。

詳細[編集]

設立と第1弾[編集]

第1作の発売は2006年10月16日。この日のラインナップには、レンタル系で人気を得ていた吉沢明歩のセル作品デビュー作と、一度引退していた小沢菜穂の復帰作『小沢菜穂 アンコール』が含まれていた。「新しいメーカーが、知名度のある出演者の“初”と“復帰”を同じ日に出す」という立ち上げ方は、無名の新興メーカーが最初の月から販売店の棚を確保するための手法として分かりやすい。

2000年代半ばの業界は、MOODYZやエスワンのように大手グループの傘下に複数のレーベルを並べる形が主流になりつつあった時期で、その中で親会社を持たない独立系として立ち上がった点が設立当初からの特徴とされる。英語版Wikipediaは、同社をレンタル向けではなく販売(セル)向けの作品に特化した独立系企業と説明している。

発売体制と技術対応[編集]

新作の発売日は毎月16日に固定されている。英語版Wikipediaによると、月に15本前後の新作を出し、2011年9月の時点でDMMには700本近いDVD作品が登録されていた。

映像フォーマットへの対応は早く、2008年4月までにブルーレイ作品の制作を始め、2010年8月には3D作品を発売した。国内のアダルト業界で最初の3D作品は同年6月のエスワンによるもので、マキシングはそれに続いた形である。メーカー公式サイトの閲覧者は約8割が日本からで、香港やベトナムでも閲覧されていると英語版Wikipediaは伝えている。

レーベル[編集]

メインレーベルは「MAXING」で、企画作品のレーベルとして「スターゲート(Stargate)」を持つ。英語版Wikipediaはほかに「Bodyva」「Cool Sexy」「Jukebox」「MAXING 3D」「Natural Beauty」「Pretty Cute」「Roppongi」などのレーベル名を挙げているが、現在も稼働しているかどうかは明らかでない。

kira☆kiraやデジタルアークの項で整理したとおり、この業界でレーベルが細かく分かれているのは制作能力の差ではなく、一覧型の販売サイトで「検索と陳列の単位」を作るためである。マキシングのレーベル構成も同じ発想の上にある。

主なシリーズ[編集]

代表的なシリーズとして「風俗ちゃんねる」「ボンテージQUEEN」などが挙げられる。単体女優の作品と並行して、シリーズ名で継続的に売る企画ものを早い段階から持っていたことが、のちの企画専門への移行を可能にした土台とも言える。

監督陣としては、デラ3、馨、SUGAR、ふしぎおじさんらの名前が挙がっている。

出演者[編集]

歴代の専属女優には夏乃ひまわり、水鳥文乃、優音希、由愛可奈、夕日ちづるらがいる。専属以外で作品を出した出演者には吉沢明歩、波多野結衣、大槻ひびき、つぼみ、みひろ、小沢菜穂などがいる。

受賞・コンテスト[編集]

  • 2007年の「AV OPEN」に参加した19社の1つで、新人女優のデビュー作をエントリーした。
  • 2008年の「AVグランプリ」でも、グランプリステージに進んだ39社の1つとして作品をエントリーしている。
  • 2010年の「アダルト放送大賞」では、同社の新人作品がスカパー!で同年に放送された1万本以上の番組の中から番組賞に選ばれた。

いずれも英語版Wikipediaに基づく記述で、詳細な審査結果の資料は少ない。

専属から企画への移行[編集]

設立当初は専属女優を中心に作品を出す体制だったが、2019年7月に当時の専属女優だった由愛可奈の最終作が発売され、本人はMOODYZへ移籍した。これ以降は専属が不在となり、企画作品を主体とするメーカーになった。

この移行が示しているのは、作品を何で識別させるかという選択である。看板を「人」に置く方式では、その人が引退・移籍した時点で次の看板を立てるまで空白が生じる。エスワンやアイデアポケットのように専属制度を維持する会社は、この空白を埋め続ける前提で動いている。マキシングの選択はその逆で、空白を埋め直すのではなく看板を持たない側へ振り切ったものと整理できる。

企画専門という形が成立する条件も、一覧型の配信が広がったことと切り離せない。パッケージが店の棚に並ぶ時代は、出演者の名前が最も強い識別子だった。文字列で探す環境では、企画名や題名がその役割の一部を肩代わりする。専属を置かないという判断は、作品の探され方が変わったことへの対応でもある。

FANZAでの配信終了[編集]

2021年5月31日をもって、FANZAでの動画配信の委託を終了した。DVDの販売とVR作品の展開はその後も続けられている。最大手の配信プラットフォームから動画配信を外すという判断は、配信の売上を手放す代わりに、販売形態を自社の側で選び直す動きとも読める。ただし配信終了の理由は公表されておらず、業界内でもはっきりした説明は出ていない。

セル専門の独立系という出自[編集]

マキシングが立ち上がった2000年代半ばは、レンタル店向けの作品と、購入してもらうためのセル作品という2つの流通がまだはっきり分かれていた時期にあたる。セル市場はソフト・オン・デマンドなどが1990年代後半から広げてきたもので、2000年代にはアタッカーズやプレステージなど、セルを前提にしたメーカーが次々に存在感を強めていた。

レンタル系で知られた出演者をセル作品でデビューさせるという第1弾の組み方は、この2つの流通の境目をそのまま商品にしたものである。レンタル店で名前を覚えた客が、今度は購入する側として同じ出演者の作品を手に取る。新興の独立系にとっては、知名度をゼロから作るより、別の流通ですでに作られた知名度を持ち込む方が早い。

その後、販売の主戦場が店舗からDMMのような通販・配信サイトへ移ると、セルとレンタルの区別そのものが薄れていく。マキシングが専属制度を手放し、2021年に最大手の配信委託からも外れた流れは、立ち上げ時に前提としていた「セル専門の独立系」という立ち位置が、市場の形が変わるたびに組み替えられてきた結果と見ることもできる。

独立系であること[編集]

親会社を持たないことは、企画の判断を自分で下せるという利点と、流通や販売サイトの条件を自力で受け止めなければならないという負担の両方を意味する。グループに属するメーカーは、販売や掲載にかかる固定的な部分をグループ側で一本化できるため、レーベルを増やしても費用が比例して増えにくい。独立系はその共通化が使えない代わりに、作る内容を外の事情に合わせて調整する必要が薄い。強みと制約が同じところから出ている点は、デジタルアークの直販レーベルの項で整理した構図と共通する。

FANZA配信の終了も、この「自力で受け止める」側面がよく表れた例である。グループ内のメーカーであれば、配信条件はグループ単位で交渉されることが多く、1社だけ配信をやめるという選択はとりにくい。

余談[編集]

  • 2000年代半ば以降に立ち上がったメーカーは、大手グループの内部レーベルとして始まる例が多い。独立系として出発してそのまま20年近く続いている会社は、この業界では多い部類ではない。
  • 3D作品の発売は2010年8月で、国内初だったエスワンの2か月後にあたる。3Dテレビ自体がその後ほとんど普及しなかったため、各社の3D作品は短命に終わった。新しい映像規格にはまず成人向けが乗るとよく言われるが、乗った規格が残るとは限らないという例でもある。
  • 最初期の看板だった吉沢明歩は、その後長く活動を続けた出演者として知られる。設立第1弾の顔ぶれが、そのままメーカーの知名度を作ったとされる。
  • 専属を置かない体制への移行は、業界全体の傾向とも重なる。出演者の契約や手続きをめぐる枠組みは、AV人権倫理機構や適正映像事業者連合会、2022年のAV新法を経て整理が進んだ時期にあたる。
  • 第1弾から20年近くたった現在も、発売日を毎月16日に固定している。発売日を固定するのは、販売店や通販サイトの側が新作の入荷・掲載の予定を組みやすくするためで、パッケージ流通の時代の習慣が残っている例である。
  • 公式X(旧Twitter)アカウントは「@MAXING_」で、新作の告知に使われている。

外部リンク[編集]

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