| ドクターシン -欲望の解剖- 닥터신 / Doctor Shin | |
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![]() 作品メインビジュアル(出典:海外ドラマNAVI【アジア】掲載画像) | |
| 略称 | ドクシン、닥신 |
| ジャンル | メディカルスリラー、メロドラマ |
| 放送期間 | 2026年3月14日 - 2026年5月3日 |
| 放送時間 | 毎週土・日曜 22:30(韓国時間) |
| 話数 | 全16話 |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 放送局 | TV CHOSUN(TV朝鮮) |
| 配信 | Coupang Play(韓国・同時公開)、U-NEXT(日本独占・日韓同時配信) |
| 平均視聴率 | 1%台(最終回2.3%が自己最高、ニールセン・コリア全国有料放送世帯) |
| 制作 | |
| 演出 | イ・スンフン |
| 制作 | TMEグループ、シン&スタジオ |
| 脚本 | フィービー(Phoebe/イム・ソンハン) |
| 出演者 | チョン・イチャン、ペク・ソラ、アン・ウヨン、チュ・セビン、チョン・ヨンミン、ソン・ジイン、チョン・ノミン、チ・ヨンサン |
| その他 | |
| 原作 | なし(オリジナル脚本) |
概要[編集]
『ドクターシン -欲望の解剖-』(原題:닥터신、英題:Doctor Shin)とは、2026年3月14日から5月3日まで韓国のTV CHOSUN(TV朝鮮)で放送された全16話の韓国ドラマである。「神の領域」に挑む天才脳神経外科医と、事故で脳を損傷し魂を失っていく女性をめぐるメディカルスリラーで、禁断の「脳チェンジ手術」が物語の軸。脚本は「マクチャン(ドロドロ劇)の女王」と呼ばれるイム・ソンハンが筆名フィービーで手がけた。日本ではU-NEXTが独占配信した。
詳細[編集]
作品の成り立ち[編集]
脚本のイム・ソンハンは、視聴率44.9%を記録した『天よ(하늘이시여)』や、イム・スヒャンを主演に抜擢した『芙蓉閣の女たち〜新妓生伝』、『オーロラ姫』などで知られるベテラン作家である。2021年からは「フィービー(Phoebe)」という筆名を使い、TV CHOSUN歴代最高視聴率を記録した『結婚作詞 離婚作曲』シリーズ、ファンタジーメロ『アシ・ドゥリアン(아씨 두리안)』(2023年)を書いてきた。
本作は『アシ・ドゥリアン』から約3年ぶりの新作で、作家本人にとって初めてのメディカル作品。演出は『結婚作詞 離婚作曲』を手がけたイ・スンフン監督、制作はTMEグループとシン&スタジオ(씬앤스튜디오)が担当した。イム作家は「愛する対象は魂なのか、肉体なのか」という問いを本作に込めたと紹介されている。
放送までの流れ[編集]
2026年2月13日に1次ティーザーが公開され、手術シーンを思わせる映像と刺激の強いセリフで早くも話題を集めた。2月20日には主要キャスト8人が一斉に発表され、2月末にはティーザーポスターも公開。放送枠はTV CHOSUNの週末ミニシリーズ(土・日曜22時30分)で、韓国ではCoupang Playでも同時公開された。
日本ではU-NEXTが「U-NEXTオリジナル」として、韓国放送と同じ3月14日(24時)から日本初・独占の見放題配信をスタート。毎週土・日曜に最新話が更新される日韓同時配信の形がとられた。U-NEXTがJTBCの『オク氏夫人伝』などで続けてきた韓国ドラマ同時配信ラインナップの一本である。
オーディションで選ばれた新人主演陣[編集]
本作最大の特徴のひとつが、主要キャストのほとんどをオーディションで選んだ新人で固めたこと。チョン・イチャン、ペク・ソラ、アン・ウヨン、チュ・セビン、チョン・ヨンミンの5人はいずれも本作が「生涯初主演」とされる。一方で、母親役のソン・ジイン、スタイリスト役のチョン・ノミン、画家役のチ・ヨンサンといった『結婚作詞 離婚作曲』組のベテランが脇を固めた。
イム作家は過去作でも無名の新人を大抜擢してスターに育ててきたことで知られ、『新妓生伝』のイム・スヒャン、『オーロラ姫』のチョン・ソミン、『王の花の仙女様』のイ・ダヘなどがその例として挙げられる。本作のペク・ソラもまた、韓国メディアから「イム・ソンハンのシンデレラ」と呼ばれることになった。
あらすじ[編集]
序盤(第1話〜第5話)[編集]
ヌア病院の神経外科院長でヌア財団理事長でもある天才医師シン・ジュシンは、スタイリストのジェームスの紹介で、人気絶頂のトップ女優モモとお見合いをする。仕事を理由に夕食を断って去っていくモモ。ジュシンは彼女の口紅の跡が残ったシャンパングラスを手に取る――これが二人の出会いだった。
同じ頃、成宇日報の文化部の新人記者クム・バラは、幼いころ自分を助けてくれた恩人で、今は人気ゲーム会社の代表となったハ・ヨンジュンと、取材相手として再会する。ヨンジュンはバラに気付かず、バラも過去には触れないままインタビューを終える。
やがてジュシンとの結婚を目前に控えたモモは、スキューバダイビング中の事故で意識不明に陥る。事故から半年後、モモの母でギャラリー代表のヒョン・ランヒは、ジュシンに「脳チェンジ手術」を求める。最初は反対していたジュシンだったが、最終的に自ら執刀し、手術は成功。しかし目を覚ましたモモは、外見こそモモでも話し方も考え方も義母ランヒそのもので、ジュシンは激しく葛藤することになる。
中盤(第6話〜第12話)[編集]
第5話のラストでは、モモとスタイリストのキム・ジンジュが2台の手術台に並んで横たわる。2度目の脳チェンジ手術で、今度はジンジュの脳がモモの体に移される。鏡に映るモモの顔を見て感激し、モモの服やアクセサリーを身に着けてみるジンジュ。だがジュシンは時に暴力的な面をのぞかせ、二人の関係はすぐにきしみ始める。
一方、ジュシンは財団の保育園出身であるバラの幼少期の資料を取り寄せ、彼女にも脳チェンジについての考えを尋ねる。バラは「可能なら、誰とですか?」と問い返す。第8話のラストではヨンジュンがバラに告白し、片思いが両想いへ動き出す。他方、ジンジュの脳を持つモモはヨンジュンへの執着を強め、妊娠、流産、夫婦げんかと、愛憎劇はさらに加速していく。
終盤(第13話〜最終話)[編集]
第13・14話では、出生の秘密、妊娠と出産、離婚といった大事件が立て続けに起こる。バラは画家ポール・キムのアルバムに自分そっくりの女性を見つけ、遺伝子検査でポールが実の父だと知る。さらにモモがバラの異父妹だったことも明らかになる。
最終回では、ジュシンがジンジュの脳を意図的に死なせていた事実が明るみに出る。娘の脳が消えたことを知ったジンジュの実父キム・グァンチョルがジュシンのもとを訪れ、ジュシンは彼に刺されて命を落とす。タブーに手を染めた人物たちが死という形で因果応報を受ける「勧善懲悪エンディング」とされた。そしてラストシーンでは、子どもたちを連れてジュシンの実家に移り住んだヨンジュンの横で、モモが庭のゴールデンレトリバーに愛を告白すると、その犬がジュシンの姿に変わる――という前代未聞の場面で幕を閉じた。
登場人物とキャスト[編集]
主要人物[編集]
- シン・ジュシン(演:チョン・イチャン)
- ヌア病院の神経外科院長兼ヌア財団理事長。父を超える脳手術の権威で、鋭いカリスマを持つ天才医師。演じたチョン・イチャンは2000年生まれで、以前は「ミン・ソンホン」の名で活動し、『オアシス』『幻想恋歌』などに出演。本作を機に芸名を改めた。
- モモ(演:ペク・ソラ)
- 人気絶頂のトップ女優。ジュシンとの結婚を控えて事故に遭い、脳を損傷する。脳チェンジ手術によって、母ランヒ、ジンジュ、バラの脳が順に宿るため、ペク・ソラは実質「1人4役」を演じた。
- ハ・ヨンジュン(演:アン・ウヨン)
- ジュシンの友人で、最短期間でメガヒットゲームを生んだ若きゲーム会社代表。アン・ウヨンは『紳士とお嬢さん』、『アイドルアイ』などに出演。役作りのため男らしいヘアスタイルや低音を出すボイストレーニング、マナー学習に取り組んだという。
- クム・バラ(演:チュ・セビン)
- ヌア財団の保育園出身で、成宇日報文化部の末っ子記者。幼いころ助けてくれたヨンジュンに思いを寄せる。チュ・セビンは『再び、フライ』『ジ・エンパイア:法の帝国』などに出演。
周辺人物[編集]
- キム・ジンジュ(演:チョン・ヨンミン):モモのスタイリストで、バラと同じ保育園の出身。チョン・ヨンミンは『模範刑事』『悪魔判事』などに出演。
- ヒョン・ランヒ(演:ソン・ジイン):モモの母でギャラリー代表。ソン・ジインは『結婚作詞 離婚作曲』でファッションモデルのアミ役を演じた。
- ジェームス(演:チョン・ノミン):ヨンジュンの兄で、芸能事務所の代表を務める有名スタイリスト。ジュシンとモモの縁を取り持つ。
- ポール・キム(演:チ・ヨンサン):ドイツで活動し帰国した洋画家。物語後半で重大な秘密が明かされる。
制作[編集]
「500対1」のサバイバル・オーディション[編集]
ペク・ソラによると、モモ役の競争率は約500倍。2次オーディションは10時間にもおよび、男女ペアや女性同士の組み合わせで相性、身長差、即興演技、さらにはダンスまでチェックされた。最終的に5人が残り、合格はイム作家本人から直接伝えられたという。共演のチュ・セビンとは、最終発表までどちらがモモでどちらがバラなのか分からなかったそうだ。
チョン・イチャンも医師のガウンを着てヘアピースを付けた状態でオーディション会場に入り、待機中に候補者が一人ずつ消えていく「サバイバルのような雰囲気」だったと振り返っている。最終審査では個人の演技だけでなく、作家と監督が俳優を2〜3人ずつ組ませて主要キャストの組み合わせを確認したという。
長時間の台本読み[編集]
撮影前には約3カ月間、俳優たちが頻繁に集まって1日10時間以上の台本リーディングを重ね、特定の場面をカメラの前で繰り返し練習した。合宿ではなかったものの、ほとんど合宿に近い密度だったとされる。
イム作家はヘアスタイルや衣装まで細かく指示を出したことで知られ、モモのトレードマークとなった前髪も作家のアイデア。特定のシーンについては作家が自ら絵を描いて送ってきたこともあったという。モモの冷たい口調も作家の注文で、ペク・ソラは「ミスを指摘しつつも、苛立っているようには見せない」バランスに苦心したと語っている。
独特の演出[編集]
登場人物の心の声を画面いっぱいの大きな字幕で見せる手法や、脳が入れ替わった人物を半透明に重ねて表現する視覚効果が用いられた。また、イム作家の作品らしく、独特の言い回し、巫俗(シャーマニズム)的なモチーフ、四十九日の法事などの描写が毎回のように登場し、放送のたびに話題を集めた。
評価・反響[編集]
視聴率[編集]
視聴率(ニールセン・コリア、全国有料放送世帯基準)は第1話1.4%でスタート。第5話では最低の0.9%まで落ち込み、第6話1.2%、第7話1.3%、第10話1.5%と、ほとんどの回が1%台にとどまった。終盤に入って第14話で2.2%と自己最高を更新し、最終回は全国2.3%、分単位の最高2.5%で有終の美を飾った。
もっとも、イム作家の過去作と比べると数字の差は大きい。韓国メディアは、『結婚作詞 離婚作曲2』(2021年)の最高16.6%、『結婚作詞 離婚作曲3』(2022年)の10.4%、『アシ・ドゥリアン』(2023年)の8.1%と並べて、本作の低調ぶりを報じた。同じく「マクチャンの大家」とされる作家の『ペントハウス』シリーズが最高29%近くを記録したのに対し、その後の作品が一桁台にとどまったことも引き合いに出され、ジャンル全体の曲がり角として語られた。
「ネットでは大バズ、視聴率は冷ややか」[編集]
放送序盤から、衝撃的なセリフや脳チェンジ設定はオンラインで大きな話題になった。チョン・イチャン自身が「一番衝撃的だった」と挙げたのが、序盤でモモに向かって放つ「玉ねぎみたいだってよく言われるだろう。むいてもむいても新しそうだ」という趣旨のセリフ。そのほか「善玉菌を分け合おう」といったセリフもあり、名場面(迷場面)としてSNSやオンラインコミュニティで拡散された。
一方で、脳チェンジが2回、3回と繰り返されるうちにヒロインであるモモ本人の存在感が薄れているという指摘や、メディカルスリラーに巫俗、憑依、メロ、家族劇まで混ぜ込んだ要素がうまくまとまっていないという批判もあった。長いモノローグや長回しが、動画配信サービスやショート動画のテンポに慣れた視聴者には遅く感じられるのではないか、という分析も出ている。
逆に、ジャンルを混ぜる実験性を評価し、「イム・ソンハン・ワールドの拡張」と見る声もあった。視聴率より二次創作やミームの形で盛り上がる、今どきの消費のされ方を示した作品だとする見方もある。
新人俳優への評価[編集]
初主演の5人は総じて好評を得たと報じられた。とくに一人の体に宿る複数の人格を演じ分けたペク・ソラは、ランヒを演じるときは目を多く使い、ジンジュのときは唇をなめる癖を取り入れるなど、人物ごとに特徴をつけたと明かしている。彼女が最も印象深い場面として挙げたのは、ジンジュの脳を持つモモが自分の頬を叩くシーンだった。
放送・配信[編集]
- 韓国:TV CHOSUN(週末ミニシリーズ、土・日曜22時30分)。Coupang Playで同時公開。
- 日本:U-NEXTで「U-NEXTオリジナル」として独占見放題配信。2026年3月14日24時から、韓国放送とほぼ同時に毎週土・日曜に最新話を更新した。
2026年11月4日時点で、日本の地上波・BSでの放送情報は確認できていない。配信状況は変わることがあるため、最新の情報はU-NEXT公式サイト・アプリで確認するのが確実である。
炎上とバズ[編集]
本作の話題性は、良くも悪くもイム作家らしい「予測不能」な展開に集中した。最終回のゴールデンレトリバーのシーンには「主人公が死んだら犬になった」とネット上で困惑と笑いが広がり、「究極の脳を空っぽにして見るドラマ」と皮肉交じりに持ち上げる声から、「夢でも見たかと思った」という声まで、反応は真っ二つに分かれたとされる。
これについてイム作家は、YouTubeで活動するオム・ウンヒャンとの電話インタビューで、作品が悪いと思えば反省するが、視聴者が面白いと言ってくれているので構わない、数字に振り回されるべきではない、という趣旨の発言をしたと報じられている。また数年間の休養も考えていると明かしたという。
余談[編集]
- チョン・イチャンもペク・ソラも、撮影中にイム作家と連絡が取れなくなり、調べると電話番号が変わっていたという同じエピソードを明かしている。作家は作品が終わるたびに番号を変えるのだと説明したという。
- チョン・イチャンによると、イム作家は「厳しくカリスマのある人」という世間のイメージとは違って情が深く、練習のたびにおやつをたくさん買ってきたり、撮影現場に食事を差し入れたりしていたという。
- ペク・ソラは中学生のころからアイドル練習生として活動し、親と一緒に参加するMnetのサバイバル番組『CAPTAIN』に出演して注目を集めた経歴を持つ。HOT ISSUEの元メンバーたちからは「モモ役がよく似合う」と連絡が来たそうだ。
- チョン・イチャンは撮影中、メイキング映像でスタッフが笑い出すような濃いセリフの場面でも、本人は役に入り込んでいて笑えなかったと語っている。
- 医療ドラマとしては『浪漫ドクター キム・サブ』や『孤島のエリートドクター』のような正統派とは全く異なる路線で、「医療もの」というより、医術によって変わってしまった人間の人生と運命を描くことに重心を置いた作品と紹介されていた。
